<< August 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

零落したお嬢様の行き着く先は「かわいそうな先生」

sennsei
【レッドグレイヴ『かわいそうな先生』1844】
クリックすると拡大

この絵も「怖い絵3」で紹介されていました。
きれいな絵なのにどこが怖いのでしょうか?

この絵に描かれている黒服の女性は住み込みの家庭教師です。彼女が手にしている手紙には訃報が記されています。大切な家族の誰かが亡くなったようです。それで喪服を着ているのです。

そして、ピアノには「ホーム・スイート・ホーム」という楽譜が置かれています。彼女は帰りたいのに仕事で帰れないのです。向こうの方で楽しげに遊んでいる少女達は彼女の生徒です。

「先生」とは「ガヴァネス governess」のことで、「住み込みで上流階級の子女を教える本人もレディである家庭教師」です。レディとして生まれ、育ちながらも、父親の死や破産のため、結婚相手を見つけられなかった女性。生活のために働かざるを得なかった「零落したお嬢様」の数少ない職業の一つです。

当時のイギリスでは、女性には相続権がなかったので、父親や実家に問題が起これば、持参金がなくなり結婚できなくなりました。

上流階級の男性はガヴァネスに身を落とした女性とは結婚しようとしませんし、自分より身分の低い階級の男性との結婚はプライドが許しませんでした。そのため、一生働くしかなかったのでした。

さらに悪いことに、19世紀になると、ガヴァネスは供給過剰となり、低賃金化で、お針子や子守の仕事も押しつけられました。彼女の足下に赤い毛糸玉が転がっているのは、仕事の合間に編み物をさせられているからです。他の召使いたちからも白い目で見られ、上からも下からも軋轢を受けていました。

ガヴァネスはたくさんの小説に登場してきました。

コナン・ドイル「シャーロック/ホームズ」の「4つのサイン」のヒロイン、メアリはガヴァネスで、ホームズの片腕ワトソンが一目惚れして結婚しました。

シャーロット・ブロンテ「ジェイン・エア」も仕事先の主人と結婚しました。しかし、作者のブロンテは、ガヴァネスとして多くの家庭で働いた後、結婚相手は地元の貧しい副牧師でした。

また、ポーランドのある女性は、父親の失業で勉学をあきらめガヴァネスとなりました。赴任先の家庭の長男との恋愛と失恋の後、パリで苦学中に知り合った学者ピエール・キュリーと結婚しました。
この女性こそマリ−・キュリーでした。彼女は夫と共にウラニウムから放射能が出ていることを突き止め、女性として初の2度のノーベル賞に輝いたのでした。


マリー/キュリー
【マリ−・キュリー ウィキペディアより】

絵のヒロインもかつては教え子と同じ屈託のない立場だったのに、運命の気まぐれで日の当たる場所から、日陰に移されてしまったのです。この絵は運命のいたずらの恐ろしさを描いているのです。

運も不運も紙一重。しかし、自分ではどうしようもない運命のようですが、スピリチュアル的には魂の深い部分でこの経験を選んできたのでしょう。


お針子
【レッドグレイブ お針子】

オフィーリア
【レッドグレイブ オフィーリア】

画家レッドグレイブの二人の妹もガヴァネスでした。彼はお針子や未婚の母などの社会的弱者である女性の絵を多く描いています。

このように一枚の絵を読み解くことから、当時の女性達の人生や生活がよくわかってきます。絵画は実に面白いです。 (^ - ^)  

・’゜☆ . : * :・’゜☆ . ::・’゜☆ . : 

 
リーディング、お茶会のご案内  ←クリックしてね。 

ランキングに参加中 
いつもクリックありがとうございます。^0^v

精神世界 
にほんブログ村 哲学・思想ブログ スピリチュアル・精神世界へ ←ぽちお願いします。

2011.06.29 Wednesday 22:40 | comments(2) | - | 
<< 7月17日(日)前世を見るお茶会のお知らせ | main | 都知事選候補者の数秘術的考察 >>
nobara (2011/06/30 10:45 PM)

昔の絵は、絵の芸術的なところと、時代背景も読めて面白いですね。
リマ (2011/07/02 7:54 PM)
nobaraさん、それが絵画の面白いところです。
写真のように一瞬を切り取るのではなく、
たくさんのメッセージが込められています。