マザー・テレサも共感した「逆説の10ヶ条」
- 2018.10.28 Sunday
- 09:32
ケント・M・キース『それでもなお、人を愛しなさい―人生の意味を見つけるための逆説の10カ条』早川書房 2010年
マザー・テレサの言葉として世界中に広まった「逆説の10ヶ条」は、実は19才の高校生の文章でした。
マザーはこの言葉に深く共感して、「カルカッタの孤児の家」の壁にその言葉を書きとめました。
その後、ルシンダ ・ヴァーディ編著の『マザー・テレサ語る』に掲載され、マザー・テレサの言葉として世界中に広まったのでした。
・著者ケント・M・キース氏について
「逆説の10ヶ条」は、ケント・M・キース(1949年生まれ)が、ハーバード大学2年、19歳の時に高校の自治活動のリーダーたちのために書いた小冊子『静かなる変革−−生徒会におけるダイナミックなリーダーシップ』の一部です。
この言葉は、キース自身の体験から生まれたものだそうです。
キース君は高校時代の生徒会活動で、自分が正しいと思う提案をしても、上級生たちに嘲笑されたり、攻撃的な言動を受け続けました。
高校2年生になってまだ2ヶ月しかたっていなかった私が、校内のリーダーを相手にして戦うのは勇気のいることでした。
私だけが反対の声を上げていた最初の数週間は非常に孤独でした。本書より
それでも、自身の損得ではなく、自分がいる高校を少しでもよくしたいという思いが、周囲の生徒たちの心を動かしていきました。
高校3年の終わりの表彰式に出席したときにひらめいた考えです。
その瞬間、3年生として達成したことや学んださまざまな事柄、そして、私が力を貸すことができた人たちのことを思って非常な満足感を覚え、表彰してもらう必要などないと感じたのです。
私はすでに報われていました。
立派に仕事をやってのけたことから生まれる充実感と満足感をすでに体験していたのです。
表彰されようとされまいと、充実感と満足感がありました。
この思いは私にとって大きな転機となるものでした。
完璧な解放感、そして、完璧なやすらぎを感じました。
正しいこと、良いこと、真実であることを実践すれば、その行動自体に価値がある。
そのことに意味がある。
栄光など必要ではないと悟ったのです。
本書より
大学卒業後、キース氏はハワイ州の官僚の要職につきながら、著作活動や講演活動を行いました。
自分が書いた小冊子のことは忘れていましたが、25年経った頃から、さまざまなところで「逆説の10ヶ条」が流布していたことを知りました。
ある会合で、マザーテレサの言葉として紹介された文章に覚えがありました。
そこで、調べてみました。
翌日の夜、書店に行き、マザー・テレサの一生や活動について書かれた本の棚を探してみると、ありました。
ルシンダ・ヴァーディが編纂した『マザー・テレサ語る』という本の最後のページに載っていました。
詩のタイトルは「それでも」というもので、私が1968年に出版した10ヶ条のうちの8つがありました。
言葉は詩らしくするためにフォーマットが変わっていましたが、まったく同じものです。
作者の名前は掲載されていませんでしたが、ページの一番下に、「カルカッタの<孤児の家>の壁に書かれた言葉」と記されていました。
本書より
19才の時に書いた文章が、回り回って25年後に著者のところに戻ってきました。
真実の言葉は、今も世界中の人々の心を励まし続けているのです。
【逆説の10ヵ条】
1. 人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。
それでもなお、人を愛しなさい。
2.何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。
それでもなお、良いことをしなさい。
3. 成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることになる。
それでもなお、成功しなさい。
4.今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。
それでもなお、良いことをしなさい。
5.正直で率直なあり方はあなたを無防備にするだろう。
それでもなお、正直で率直なあなたでいなさい。
6.最大の考えをもった最も大きな男女は、最小の心をもった最も小さな男女によって撃ち落とされるかもしれない。
それでもなお、大きな考えをもちなさい。
7.人は弱者をひいきにはするが、勝者の後にしかついていかない。
それでもなお、弱者のために戦いなさい。
8.何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。
それでもなお、築きあげなさい。
9.人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。
それでもなお、人を助けなさい。
10.世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。
それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。
・リマの感想
良いと思うことをしても、批判する人はいるでしょう。
頑張って来たことが、失敗に終わるかもしれません。
それでも、信念を貫いて、そこに人生の意味を見いだそうという励ましのメッセージです。
私自身もこのように生きたいです。
キースさん、ありがとうございます〜
この言葉を広めてくれたマザー、ありがとうございます〜
ヽ(´∀`)ノ
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