『魔術の人類史』2古代ギリシャ・ローマの魔女
- 2017.08.26 Saturday
- 19:37
魔術の人類史 – 2015/9
スーザン グリーンウッド (著)
第二章「魔女と超自然的存在」から、面白そうな部分を紹介しますね。
[古典古代の世界]の魔女たち (要約・メモです。)
古代ギリシャ・ローマ社会では魔術は必要不可欠なものとみなされていた。
医師や神官にとって、魔術はごく当たり前に実践されていた。
国家が将来を知ろうと宣告者を雇い、政治や軍事に関わる決定に彼らを頼ることもしばしばだった。
災いをもたらす諸々の呪文は違法とされたし、悪事のためのオカルトもまた犯罪として罰せられることになっていた。
ギリシャ・ローマの神々は人間によく似ていて、神と人間の間に厳格な差異はなく、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教といった一神教とは違っていた。
初期のギリシャ宗教に通底しているのは、自然の力への崇敬だった。
ギリシャ宗教は多くの男女の神格が崇められ、自然の力が人格化された多神教で、神々は森や泉や川、そして流の果ての海にも棲まうものだった。
半人半馬のケンタウロスや、若い女性の姿の精霊ニンフのように、川の一筋一筋に牡牛や馬の形をとる神格を帯び、精霊たちは半身半獣の姿を持って土地土地に住み着いていく。
ローマのウィッチクラフト
益になる魔術は白昼に行われた。
夜は、邪な術が実践される時とみなされていたのである。
ローマ文学には、夜半に飛行し、金きり声をあげるストリークスなる生き物が見られるが一般的にはミミズクを指す。
ミミズクは、保護者が赤ん坊から目を離した隙にゆりかごから引きずり出して八つ裂きにして臓腑を喰らうと言われていた。
古典古代の魔女たち
古典古代にあって最も知られている魔女を3人あげるとすれば、ヘカテ、キルケ、メディアである。
彼女らは、闇と夜にも統合されるいわば「魔女神」(ウィッチゴッデス)であり、キリスト教の異端審問の影響を受けた魔術をとは違って邪な鬼女と言うわけではない。
遥かなる過去から相互に影響しあってきた生と死を象徴する魔術的な存在だった。
詠唱によって月を空から呼び下ろし、蝋人形を動かし、死霊を召喚し、媚薬の調合ができる・・・この頃の魔女たちはそのように信じられていた。
◇ヘカテ
【ブレイク画 ヘカテ「死の女神」、「女魔術師の保護者」、「霊の先導者」、「ラミアーの母」、「死者達の王女」、「無敵の女王」等の別名で呼ばれた。】
夜と月を司る「魔女神」ヘカテは、女流詩人サッフォーから「夜の女王」と呼ばれていた。
墓地に棲まい、炉端に座るとされた月の暗い面を司る女神ヘカテは、死霊を統べる女君(めぎみ)と仰ぎ見られ、人の生死の時、つまり精霊が肉体を出入りするその瞬間に立ち会うものと信じられていた。
晴れた夜、月に吠える侍従の犬共と精霊を連れて十字路に姿を現すヘカテは「三重の女神」の異名を取る天地海の3世界に及ぶ力の持ち主だった。
魔女たちは十字路に集まってヘカテを召喚し、女神を鎮めるための浄めのいけにえを毎月そこに置き、そうした諸々の作法を通じて毒薬作りに熟達しているものとみなされていた。
◇キルケ
【ジョン・W・ウォーターハウス〈キルケ〉足元に豚に変えられた兵士が】
ギリシャ詩人ホメロスの作品、『イリアス』と『オデッセイア』に出てくる魔女キルケの話。
トロイア戦争の英雄オデッセウス一行は故郷に帰る途中、魔女キルケのアイアイエ島に上陸する。
部下たちが宮殿へと足を踏み入れると、待ち受けていた女主人キルケによって豚の姿へと変わる薬を与えられ小屋に閉じ込められてしまう。
部下の救出に向かうオデッセウスは、その途中でヘルメス神からキルケの魔術を無効にする薬草を授かる。
そして、彼が術にかからないことに気づいたキルケに部下の解放を訴え、彼女は軟膏を使って彼らを元の姿へと戻してやるのだった。
そのまま1年間キルケの宮殿にとどまったが、キルケの助言や冥界ハデスの預言者からの忠告に従って、困難な不思議な世界を旅し、やがて故郷に帰り着くのだった。
◇メディア
【ドラクロア画 魔女メディア 嫉妬に狂いイアソンとの二人の子供を殺すところ】
呪文や強烈な酒、意識の変容もたらす調合薬の知識をキルケ同様に持つメディアは、混沌と破滅をもたらす闇の威力(ダークフォース)そのものである。
オウィディウスの『変身物語』に登場するメディアは、若返りの魔術で舅であるイアソンの父アイソンに行う時に夜を召喚する。
「夜よ、この上もない秘儀の友よ!昼の光の後を受けて、金色に輝く星よ!月よ!」
「魔術師の呪文と技の助け手」であるヘカテにも呼びかけるのだった。
神話の上でメディアが有名な役割をになったのは、イアソンとアルゴナウタイの遠征においてこの英雄と恋に落ち、黄金の羊毛を手に入れ持ち去る手助けをした時だった。
イアソンがコリントスの王クレオンの娘と褥を共にしたことを知るや、メディアは復讐に燃え、ヘカテを召喚して魔力によって新妻である王女を苦しめる。
メディアが毒を染み込ませた花嫁衣装を送ると、王女はその毒により落命してしまうのである。
嫉妬のあまり錯乱したメディアはイアソンとの間にできた自らの息子達まで殺し、竜に引かれた車に乗って空へと飛び去っていった。
この項終わり
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