ひとりぼっちのリーサ
- 2016.09.02 Friday
- 15:11
【米空軍の女性パイロット】
前回登場した伯父さんの知り合いのお話です。
彼女も伯父と同じ空軍士官で、二人の友情は30年以上続いていました。
伯父は彼女のことを「忠実な友人」と言っていました。
「彼女は私がこれまで出会った中で最も強い女性なんだ。
精神、肉体、情緒のすべてにおいてね。
並外れて聡明な女性であることは言うまでもないよ」
私(著者アーディ)は伯父に頼まれて、旅の途中で彼女に荷物を届けに行ったことがありました。
そこはアーカンソー州オザーク山脈の巨大な湖のほとりでした。
彼女のログハウスで、夕食をごちそうになり、泊めてもらうことになりました。
アーディ:ここは地上の楽園のようですね。
どうやってこんないい場所を見つけたんですか?
リーサ:私は運が良かったんです。
空軍を退役して住む所を探していたとき、持ち主が早く売りたがっていたここを友人が紹介してくれたんです。
でも、ここにいると寂しくなるんです。
古い友人達に会いたくなります。
あなたの伯父さんにも。
ふと彼女は私がこれまで会った人の中で、最も孤独な人だと感じました。
リーサ:あなたはスターピープルについて調べているんですってね。
伯父さんは、私たちが一緒に配属されていたグリーンランドの基地で目撃したUFOについて何か話してくれた?
アーディ:いいえ。
リーサ:私は空軍での公的立場など気にしません。
UFOは確かに実在するんです。
彼らの高度なテクノロジーに比べれば、地球人類はまるで暗闇の中を手探りで出口を探している原始人のようです。
UFOは私たちのグリーンランドの基地を定期的に訪れていました。
あるとき敷地内に小さな宇宙船が着陸したことがあり、そこから一人のスタートラベラーが出てきたんです。
若い空軍兵が、その方向にライフルを向けた瞬間、基地内のすべての武器がその機能を失ってしまいました。
その後、異星人はUFOに戻ってあっという間に消え去りました。
それ以降、一ヶ月にわたって基地では警戒態勢を敷きましたが、そんなことをしても何の役にも立たないことは誰もが分かっていました。
もし相手が侵略や略奪をしに来た場合は、私たちには為す術もありません。
そう考えるとやりきれなさを覚えてしまいます。
あなたは偏見のない広い心の持ち主だと伯父さんから聞きました。
これからする話は伯父さんにもしてあります。
どうか私の話を途中でさえぎらないで、最後まで語らせてください。
そして、私はワインを一口飲んでから、始まった彼女の話に魅了されました。
リーサ:私はこの惑星で生まれた者ではないんです。
私は北米インディアンだと思われていますし、あらゆる書類にもそう記載してきました。
が、真実は違うんです。
私は地球に墜落した宇宙船に乗っていました。
メアリーというインディアンの女性の家の近くでした。
彼女が墜落の音を耳にしてやってきて、私をみつけたんです。
彼女は私の素性をみんなに隠して、自分の孫娘だと言って育ててきたんです。
彼女にはどこか、異世界のような超自然的な雰囲気が漂っていました。
グレーの瞳、ショートな黒髪、オリーブ色の肌、片頬の下の丸い傷跡はメアリーのトウモロコシ畑に落ちた際にできたものだといいます。
リーサ:メアリーのことは周囲の誰もが知っていて、事実でなくても彼女の言葉に疑問を投げかける者は一人もいませんでした。
優れた呪術医として尊敬されていて、一族のなかで指導的な立場にいたのです。
彼女は助産婦もしていたので、出生証明書を簡単に発行してもらうことができたんです。
そうして、私はリーサ・ブレヴィンスという名の人間になることができたんです。
リーサ:私が成長して娘になったころ、メアリーは私の出自について話してくれました。
彼女は宇宙船の墜落現場まで連れて行ってくれました。
そこは湿地帯で、証拠は何も残っていませんでした。
彼女によれば、まだ息のあった母親の腕に抱かれていた私を『この子をお願いします』と言って息絶えたそうです。
私は学校で、自分が他のクラスメートと違っていることをいつも自覚していました。
リーサ:十代の頃は、いつか自分の同胞が私を救い出しに来てくれることを夢見ていました。
夜空の下で、彼らが現れるのを待ちましたが、決してやってくることはありませんでした。
リーサ:私は他の子ども達にどうしてもなじめなかったんです。
心を許せたのはメアリーだけでした。
リーサ:私は身体的に異なっているんです。
私にはおへそがありません。
そう言ってブラウスをまくってみせた彼女のお腹にはおへそのあるべき場所に、なめらかな肌があるだけでした。
リーサ:私はあまり睡眠を必要としません。
一日2時間から4時間くらいです。
子どもの頃からそうでした。
私の心臓の鼓動は緩やかで、普通の人の半分の早さですが、それでも軍部に採用されました。
私の老化の進み方も緩やかです。
これらは小さな相違点ですが、全部がまとまると私を身体的に異質な存在として目立たせてしまうんです。
私は泣くことをしません。
それは私が北米インディアンだからではないんです。
私は泣くことができないんです。
異性にも同性にも惹かれたことはありません。
2才のときに読み書きを覚え、5,6学年飛び級したので、さらなる奇人と見られてしまいました。
学校ではいつも年上の生徒と一緒だったので、何をするにも幼すぎました。
違っていることは私が変人だからということで済まされました。
リーサ:私が大学生のときにメアリーは亡くなりました。
これから自分の人生はどうなってしまうんだろうと途方に暮れました。
彼女は私にとって、頼りになる守護者であり、良き助言者であり、唯一の家族だったからです。
そうして、私は空軍に居場所を見つけたんです。
そこの仲間たちは自分にとっての家族となり、退役するまでそこにいました。
アーディ:あなたはまったく年令を感じさせないですね。
退役したと聞いて驚きました。
二人は別れてからも電話で話す間柄になりました。
およそ1年後、アーディがインディアン保留区を巡る3週間の旅から戻ってきたとき、留守番電話に伯父からの伝言が入っていました。
リーサが落馬して、病院の集中治療室にいるとのことでした。
行ってみると、彼女の下半身は麻痺していました。
その後、リーサは入院中に寝ている間に静かに息を引き取りました。
リーサの葬儀後、モーテルに滞在中のアーディと伯父のもとに、彼女の顧問弁護士が訪ねてきました。
伯父が唯一の遺産相続人だったのです。
そして、伯父は次のような碑文を墓石に彫りました。
「メアリー・ブレヴィンスの孫娘、
そして星の民の娘であるリーサ・ブレヴィンス。
彼女はこの地球の者ではなかった」
終わり
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